東京医科歯科大学(東京科学大学(仮))医学部編入とTOEFL受験

東京医科歯科大学医学部編入とTOEFL受験の情報を発信します。

学部2-4年生 専門科目以外の科目(その2)

ひとつ前の記事に続いて、専門科目"じゃないほう"の講義の概要をご紹介します。

前の記事では

について書きました。本記事では残りの

についてご紹介します。

 

生命倫理

2~4年生まで必修の授業です。

生命倫理の講義数は多くありません。過去の時間割を見てみたら、2年生で2コマ、3年生で15コマ、4年生で7コマでした。

大きく分けて、総論、医の倫理、研究倫理、の3部構成です。

総論

2年生の2コマが総論にあたります。なぜ生命倫理を学ぶのか?倫理問題をどのように考えたらいいのか?という導入としての講義でした。

「ゆでガエル」のお話から始まり、ある研究データ捏造事件における当事者の発言が紹介された導入が印象的でした。

ニュルンベルク要綱、ヘルシンキ宣言、タスキギー事件など、医療倫理に関する歴史についても紹介され、医療倫理4原則についても学びました。

医の倫理

トピックは多岐にわたりますが、例えば、以下のような話題がありました。

研究倫理

研究倫理については

における倫理的問題について、学びました。

 

主題別教育

「主題別」は医科歯科でこれまで受けた講義のなかでいちばん独特でした。

配布された資料によれば、主題別教育とは、

「人間」という存在について、人間を生物的社会的存在たらしめている要素である「文化」「生命」「言語」「制度」「時間」という5つの視点から考えてみようという取り組み

です。

具体的には、文化人類学歴史学社会学、法学、政治学、哲学、倫理学などの人文科学系科目を学びます。

仕組みがやや複雑なので、まずはそこから書こうと思います。

仕組み

  • 1年次:人文科学系の講義を選択履修する
  • 2年生進級時:主題を選ぶ
  • 2年次~3年次前半:主題と紐づいた講義を履修する
  • 3年次後半:共通講義/主題に基いたテーマで論文を書く

編入生は入学前に大学からメールが来て、主題を選ぶところからスタートします。いずれの主題も30名程度の定員が設けられているので、場合によっては第一希望にならないこともあるようです。

ゴールは、3年次に自分で問いを設定し、調査・考察して結論をまとめることです。最終成果物は体裁を整えた論文形式で提出します。

選んだ主題ごとに、2年次に選べる講義が変わります。例えば、「戦争と科学」を履修したい場合は、主題として「文化と人間」か「制度と人間」を選んでいる必要があります。

私は、「制度と人間」という主題を選択しました。

2年次~3年次前半

2年生で2つ、3年生で2つ、合計4つの講義を選択して履修します。上で書いた通り、自分の選んだ主題に紐づいた講義の中から選ぶことになります。こちらも人数制限があるので、希望通りになるとは限りません。

講義はたくさんあり、ジャンルの幅も広いです。例えば、

  • スポーツと心
  • フランス文学を読む
  • 物理数学演習
  • ドイツとヨーロッパの社会
  • 危険物の科学
  • 宇宙と生命
  • 医療の社会学
  • 植物の科学
  • 民主主義を再考する

といったように、大変バラエティに富んでいました。私が履修したのは、「医療の社会学」、「情報社会と人間」、「ヒトの脳と言語」、「生命科学と医学」の4つでした。

3年次後半

3年生の後半での内容は大きく分けて

  • 「医療と法」「医療と社会」という2つの共通講義
  • セミナー論文」

の2つのパートに分かれていました。

医療と法

社会保障、公的扶助、年金、子育て支援などについて学びました。

制度そのもの、具体的な条件や金額、関連する政策、課題と本格的な内容で、かなりボリュームがありました。

医療と社会

ひとことでくくるのが難しいですが、社会学と医療の接点あたりの様々なトピックを学びました。

具体的には、医療システムの国際比較、人工内耳とその課題、出生前診断、地域包括ケアシステムなどが話題として取り上げられました。

セミナー論文

自分の主題に沿ったテーマで、自由に問いを設定し、それについて調べ、まとめ、考察して論文形式にまとめるものです。

講義の初めの方はテーマ設定と、全体の大まかな構成について発表し、先生や同じグループの同級生からフィードバックをもらってブラッシュアップしていきます。後半では進捗状況を報告しながら、困っている点を相談し、完成に向けてひたすら書き進めていきます。

かなり自由度が高く、同じ主題の中でもものすごく幅の広いテーマが提案されていました。

人文社会系論文の書き方や、注の付け方、引用の仕方、参考文献の体裁など、お作法の部分についてもレクチャーがありました。

 

つぶやき

学生に軽く見られがちな生命倫理と主題別科目なのですが、個人的にはとても学びが多かったです。

 

生命倫理はCBTや国試でも登場する内容なので、その意味でも重要です。しかしそれ以上に、いち医療人として、知っておくべき内容が多かったように思います。とくに、matureな編入生のみなさんには響くところが多いのではと思います。講義としては厳しくはないので出席さえすればよいのですが、医学教育の文脈では重要だと感じました。

取り上げられているトピックは編入試験の題材にもなりそうな気がするので、ここに書いたものであまりピンとこないものについては一度簡単に調べてみるのもオススメです!

 

主題別は仕組みを理解するのに少し時間がかかりましたが、講義自体はとても面白かったです。私が選択した中では「医療の社会学」が重い内容で、真面目に取り組んでいた私は毎回講義後にぐったりしていました(いい意味で)。「医療と社会」も知らなかったトピックや視点があり、興味深かったです。

「医療と法」は、社会人経験者や行政まわりに興味のある方にとって、知っていたようできちんと知らなかったことを改めて学べる、ためになる講義だと思います。一般の学生にとっては、あまり入ってこない内容かもしれません…笑。

 

セミナー論文は作文のニガテな私にはなかなか大変で、テーマは設定したものの調べていく中で最初にたてた仮説を自分で否定したくなってきて、かなり苦労しました。同じグループの中にすごく面白い論文を書いている学生もいて、ただただすごいなあと感心しきりでした。

 

面白かったので、つぶやきが長くなってしまいました。医師は理系のイメージがありますが、人文社会系科目、重要だと思っています。

学部2-4年生 専門科目以外の科目(その1)

編入生は2年生からスタートするため、解剖学や生理学など、いわゆる専門科目から学び始めます。

一方で、4年生の前半までは週に1日ほど、専門科目ではない科目を学ぶ日がありました。

本記事では、これら専門科目"じゃないほう"の講義の概要をご紹介したいと思います。

前の記事で書いた通り、今後カリキュラムが変わる可能性も大いにありますが、これまで私が受講したものについてご参考までに書いておきます。

長くなりそうなので、2つの記事にわけてご紹介します。

 

教養科目

教養科目を落とすと、それだけで留年します。

生命科学基礎(生物学):2年生

2クラスに分かれて受講しました。受験の際に生物を選択していたかどうかでクラスが分かれていたようですが、編入生は「選択していた」方のクラスに自動的に振り分けられました。

内容としては、サーカディアンリズムメラトニンについて、基礎から分子生物学的制御機構、関連する周辺事項などを学びました。

もう1方のクラスもテーマは同じであったようです。

生命科学基礎(化学):2年生

化学熱力学、生体高分子、反応速度論を学びました。

試験が難しめでしたが不合格者は少なく、合格ラインは低めに設定されたのではと推察します。同時期に専門科目の試験もあるので、教養まで手が回っていない人も多かったです。

 

Global Communication

2年生と3年生で必修の英語の授業です。この講義も、落とすと留年です。

A~Hまで8つのクラスに振り分けられます。編入生は受験時のTOEFLの点数、それ以外の学生は前年度に学内で受けたTOEFL iTPの点数が参考にされるようです。ちなみに私はスコア89でCクラスでした。他の編入生4人はAクラスです…。2年次と3年次で若干のクラス替えがありますが、私は2年間同じクラスでした。

先生はネイティブです。先生のキャラクターによって授業の雰囲気が変わるようですが、基本はゆるめです。出席には厳しく、留年する理由の多くが出席日数不足です。

2年次

2年生の間は、2週に1回くらいのペースで授業があります。

授業は

  • 100 words エッセー(事前提出)
  • 医療に関連する単語のテスト
  • その日のテーマに沿った英語のグループワーク

というセットで進みました。単語やその日のテーマは事前に提示されるので予習していく形です。

3年次

内容がほんの少しだけ高度になりますが、基本は2年次と同じです。違う点は、ほぼ毎週あるという点だけです。

年度末に、グループごとの英語プレゼンが課されました。

 

臨床統計

2~4年生まで必修の授業です。

2年次

先生が2人おり、講義内容もガラッと変わります。

徳永先生パートは、統計学の数学的な部分についての講義です。ベイズの定理や中心極限定理など、重要な定理について数式を使って理解していきます。

試験問題としては、たとえば次のようなものが出ます。

有権者全体における内閣支持率𝑝を調べるために, 𝑛人の有権者を無作為抽出してアンケート調査を行うとする。この調査において「支持する」と答える有権者の人数を𝑋とするとき, 以下の問いに答えよ。

(1) 𝑛 = 3600として実際に調査を行ったところ, 𝑋 = 1200となった。支持率𝑝の 95 %信頼区間を求めよ。

(2) 支持率は以前の調査では 30 %であった。支持率の変化について, (1)と同じデータを用いて有意水準 5 %で検定して判断せよ。

(3) 調査によって得られる支持率と本当の支持率との差を 2 % 以下に抑えるためには少なくとも何人の有権者にアンケートをとればよいか。ただし信頼度は 95 %とせよ。

 

能登先生パートでは、研究デザインとその特徴や、バイアス・誤差について、Evidence Based Medicineの実践についてなど、もう少し概念的なことを学びます。

試験問題としては例えば次のようなものが出ます。

以下の選択肢のうち,正しいのはどれか.

a 症例対照研究では要因曝露の有無別に疾病発生状況を調べる.

b 無作為比較試験には二重盲検化が必須である.

c コホート研究では相対危険度を推定できない.

d ワクチンの効果判定には横断研究が用いられる.

e 治験は介入研究の一つである.

外部の先生の特別講義が数回ありました。

3年次

能登先生です。感度、特異度やp値の解釈、エビデンスの取り扱い方や解釈などについて学びました。

後半は自分で研究デザインや検定法を選択する練習をしたり、実際に疫学論文を読んで解釈したりと実践的な内容がありました。

4年次

能登先生です。具体的なデータを配布され、Rという有名な統計ソフトを使って自分で解析し、表にまとめた上で解釈・考察までしてレポートを提出する、というかなり実践的な内容でした。

初心者である前提なので、わからないことは講義中にいくらでも質問できます。

授業時間内に平行して行われる「発展コース」の案内もあり、私はこれを受講しました。

 

つぶやき

今振り返ると、臨床統計は今後もずっと役に立つ内容だなと思います。臨床に出てからいろいろと役立ちそうです。

個人的に一番きつかったのは生命科学基礎(化学)です。熱力学はともかく、反応速度論は昔やったはずだけど忘れていて、生体高分子は私のニガテな「理屈ではなくとにかく覚える」作業が多かったので…。

 

次の記事では、残りの「生命倫理」と「主題科目」について書く予定です。

 

カリキュラムに関する噂

噂でしかないですが、カリキュラムが変わるかもしれないようです。

 

ウワサ1:教養科目履修期間の短縮と専門教育の前倒し

信憑性 ★★★☆☆

むしろリベラルアーツを強化したいのかと思っていたのですが…?

編入生としては、専門教育が前倒しされてしまうと、入学時点でもう履修できない専門科目が存在することになるので、正直メリットはあまりないです。

私が入学した時点ですでに「履修できない必修科目」は若干存在していて、カリキュラム外で補講が行われました。補講のコマ数が多くなると先生も編入生も大変そう…。

 

ウワサ2:4年次CBT・OSCEと病棟実習開始時期の前倒し

信憑性 ★★★☆☆

現在、医科歯科の病棟実習開始時期は5年生の4月からで、全国でもトップクラスの遅さのようです。

開始が遅いので終了も遅く、6年生の夏には実習の合間に研修先のマッチング試験を受けることになります。実習を休むためには先生の許可をとり、しかるべき書類を提出しなければならないので、なかなか大変です。また、実習のあとには卒試もあり、実習と並行してマッチング試験・卒試・国試の勉強をすることになります。

ほとんどの先輩方はそれで問題なくクリアしていっています。なので、試験に受かるかどうかという意味では現在のスケジュールのままでも良いのです。

問題は、マッチングと実習が重なるせいで、「興味がある科かどうか」でなく「スケジュールに余裕があるかどうか」で実習の診療科を選択することになりがちということです。興味があるからといってハードそうな診療科ばかり選んでしまうと、マッチングの時期に大変な思いをしたり、国試の勉強をする時間がさらに減るのではという懸念が生じます。

なんだか本末転倒ですよね。実習の時期が前倒しされれば、もう少し興味のままに選択できるようになるのではないかと期待します。

 

ちなみに私も先日、来年度の実習ローテートについて選択希望調査がありました。ここを回りたい、でも子供もいるし…と色々迷いましたが、結局、「興味あり」と「スケジュール余裕あり」を6:4くらいの感じで選びました。うーん…。

 

ウワサ3:授業のオンデマンド化

信憑性 ★★☆☆☆

コロナ禍で、授業のオンライン化がどんどん進みました。今は対面講義もあるようですが、正直、一方向の講義なら対面である必要はなく、リアルタイムである必要すら感じないです。

5年生の実習では、各診療科がこれまでの講義用、あるいは研修医向けに作った動画がwebclassというオンラインプラットフォーム上に公開されていて、好きな時間に視聴することができます。ローテート中に指定の動画を視聴することが課題となっている場合もあります。

また、現在、解剖学と発生学については、2年生の講義動画を他学年でも視聴することができます。

全ての診療科、全ての講義で動画が公開されているわけではありませんが、空いた時間で視聴できるのはありがたいです。過去の講義を他の学年で見られるのも嬉しいです。

双方向のやりとりがない講義はオンデマンド、発表やディスカッションのあるものは対面、となるとメリハリがあって良いなあと思います。

 

ウワサ4:授業の英語化

信憑性 ★☆☆☆☆

実習の最中、急に上の先生から聞かれました。

東工大と合併したら授業が全部英語になるってホント?」

信憑性はかなり低いと思いますが(笑)、もしそうなったら、ただでさえ消化するのが大変な講義内容が、ますます消化不良になりそうで…おそろしい…。

 

つぶやき

医学部のカリキュラム変更については、東工大との合併とはまた別に検討されているものと思います。教養についても、合併していきなり合同授業にはならないと思うので、変更されるとしてももう少し先の話になるのではないでしょうか。

個人的には、実習の前倒しと、授業のオンデマンド化は賛成です!

(ただし、あくまで噂なので、本当に検討されているかどうかはわかりません)

東京科学大学(仮)

新大学の名称が発表されましたね!

www.tmd.ac.jp

 

統合が決定してから、学内では名称についていろいろな憶測やジョークが飛び交っていましたが、ついに決まりました。

なんというか、さっぱりとした無難な名称で、、、リアクションが難しいです(笑)

ブログのタイトルも少し変更してみました。

いずれ「東京科学大学(旧:東京医科歯科大学)」に修正する日が来るのかと思うとなんだか感慨深いです。

 

先ほど学内向け説明会の録画を視聴しました。

非公開なので内容はここに書けませんが、ひとつだけ、最後に学長が「ダサい名前だなと思う方もいるかもしれませんが、例えば、『東京藝術大学』をダサい名前だと思う人はいないでしょう」と。

これから実績を重ねて、文句なく日本の科学を代表する大学になりましょうよと、そういうことだと思います。

 

予定のスケジュールで進めば、次の編入試験を受ける方が、「東京科学大学」入学の1期生となるのでしょうか?

我々の代からもしかしたら「東京科学大学医学部附属病院初期臨床研修医」の1期生が出るのでしょうか?

カリキュラムもいろいろと変わりそうですし、楽しみですね!

 

個人的には

新大学名称:東京無農薬大学

決定した理由:理系学部の中で農学部と薬学部が無いため

英語表記:Tokyo Organic University

というジョークが好きでしたが :P

医学生の教科書事情

久しぶりの更新となってしまいました。頻繁に書くぞ!と意気込んだばかりで情けないです…。

 

本日は、教科書の話です。

みなさんご存知かと思いますが、医学書は高価です。数千円から、本格的なものになると数万円します。さらに、日進月歩の医学界、毎年のように改訂版が出版されます。シラバスには教科書や参考図書が記載されていますが、言われるがまま全てそろえようとしたら破産です。

 

そこで、リクエストもいただいた「医学生の教科書事情」という記事を書こうと思ったのですが、よく考えたら他の人がどれくらい教科書を持っていて、どれくらい活用しているのかよくわかりません。

というわけで、タイトル詐欺になってしまいそうですが、本記事では主に、医学生(私)の教科書事情、個人的なオススメ書籍、専門書をなんとかお手頃価格でゲットする作戦、などについて書きたいと思います。

 

私の本棚の医学系書籍たち

シラバスに記載のあったものかどうかもはや記憶があやふやですが、私の本棚には教科書的なものとして、以下のものがありました。

  • グレイ解剖学
  • グレイ解剖学アトラス
  • ラングマン人体発生学
  • リッピンコットシリーズ イラストレイテッド生化学
  • 病態生理に基づく臨床薬理学
  • 標準小児科学
  • 神経解剖学講義ノート
  • 臨床統計はじめの一歩

参考書的なものは以下のものを持っています。

  • 病気がみえるvol.1~11
  • レビューブック内科外科、マイナー
  • イヤーノート
  • 研修医当直御法度

そして問題集としてはこれです。

  • エスチョンバンクCBT
  • エスチョンバンク国試

おまけで

  • まとめてみた マッチング対策
  • ネジ子のひみつ手技(借りて読んだだけ)

これが少ないのか多いのかわかりません…!

 

教科書について

ちゃんと使っているもの第1位:解剖学の教科書

買ってよかったし、ちゃんと活用しているもの第1位は解剖学の教科書です。

編入生は入学して最初の講義が発生学、そして解剖学と続き、解剖実習もあります。講義のスライドが充実しているので、教科書の出番は少ないですが、実習の際に該当するページのコピーを持参するとスムーズです(そして同じ班の人たちに感謝もされる)。

その後の学年でも、ふと気になるときに解剖にもどって確認することは良くありました。とくに外科系の内容を正しく理解するには解剖の知識は必須です。

病棟実習に出てからは、手術見学をする際によく解剖を確認しています。ググってもそれなりの図は出てくるのですが、やはり教科書は信頼できます。私が買ったものはオンライン版が付いているので、それも活用しています。

解剖の教科書の良いところは、改訂が少ないことです!医科歯科は、解剖学の先生が監修しているグレイが指定教科書ですが、別に他のものを使っても良いと思います。図版のみの「アトラス」と図は多少減り解説がついている「解剖学」の2冊が必要かはやや疑問ですが、どちらか選べと言われると難しいので、おとなしく2冊買っとくのが無難かもしれません。

そこそこ使ったもの:神経解剖学講義ノート

医科歯科の神経解剖は、めずらしくスライドではなく紙ベースの資料で講義が進みます。担当の先生が変わらない限りこのスタイルだと思います。詳しくて丁寧ではあるのですが、神経解剖は複雑でとっつきにくく、講義中は資料にいろいろ書き込むので忙しくて、なかなか頭に定着しません。

シンプルにわかりやすく解説してくれているものを求めてたどり着いたのが「神経解剖学講義ノート」です。神経系の話が出てくるときはときどき参考にしています。

これから使うかもしれないもの:標準小児科学

多少迷いつつも小児科志望なのと、小児科のシケタイだったので買ってみました。正直あまり開いていません…。通読するには分厚いのに、講義で習ったことが書いてなかったりして、どういうノリで使えばいいかまだよくわからず。ただ、内容は学生レベルでもわかりやすいので、今後使うかもしれません。

買ったけど使わなかったもの

  • 発生学:講義資料で十分だった。
  • 生化学:苦手意識があって買った。わかりやすいけど、ボリュームがあって通読できない。もっと私のレベルに適したものがあった気がする。
  • 薬理学:苦手意識があって買った。開いていない…。
  • 臨床統計:簡単すぎたし、講義のまんまだった。

まあ、ほとんど中古本なので、いいんですけどね…。

 

参考書について

「病気がみえる」シリーズはオススメ!

メディックメディア社のまわしものではありませんが、病気がみえるシリーズは学生にオススメです。イラストが多くてわかりやすく、やる気がでます。

一部の先生が指摘するとおり、稀に間違いや、足りない部分もありますが、それは自分で訂正したり書き込むことでむしろ覚えるのでよし、と思っています。

と言っても、私は講義の復習でいっぱいいっぱいだったので、これまでは本棚にあったもののあまり開いたことはありませんでした。4年生最後のCBTの勉強と、病棟実習の最中に使い始めたのですが、わかりやすくて、買っといてよかった~と思っています。

講義で当てられそうなときも手元にあると安心ですし、図解が多いので課題でスライドを作成する時にも活躍してくれます。

後述しますが、同じメディックメディア社の各種書籍と相互にリンクされているので、全部オンラインで持っている人はさらに使い勝手がよさそうです(私は貧乏学生なので紙版のみを中古で入手…)。

「病気がみえる」のトリビア
  • 「病みえ」と略すのが王道だが「ガミエル」という流派もあるらしい
  • 毛嫌いする先生もいるが、たまに堂々とシラバスで教科書として指定されていることもある
  • 先生が講義スライドに利用していることもある

その他は使い方次第?

レビューブックもイヤーノートも、同じメディックメディア社の書籍です。

レビューブックはイラストはほぼなく、簡潔に箇条書きで、CBTや国試に登場した事項がぎゅっとつまったコンパクトな書籍です。持ち歩きに便利なので、病棟に持って行ったりすることもあります。

対してイヤーノートは分厚い辞書的な書籍で、オンライン版のみ持っている人も多いです。最近のトピックや、発展的な内容なども書いてあり、勉強になります。

しかし!私はまだイマイチどちらも使いこなせていない感があります。これから国試の勉強をする中で、自分なりのノウハウを見出したいです。

 

研修医当直御法度は、m3.comで一部内容が公開されており、実践的で面白いので購入しました。入手したのは中古で古い版なのですが、やはり面白く、研修医になるとき最新版を買いたいな~と思っています。

私は使っていないけれど人気があるもの

CBT前には、メディックメディア社の「Q-Assist」という動画教材を利用している同級生も結構いました。曰く「講義をちゃんと聴いている人には必要ない」そうですが、気になります。まとめ資料が結構良さそうで…何度か揺れましたが、私はここまで購入せずに来てしまいました。

病棟実習で、ローテーション前にサクッとその科の動画を見られると予習としてよさそうだな~と思いますが、「量が多くてとても観きれない」とも。

 

問題集

CBTの問題集や国試の過去問集はいろいろありますが、医科歯科ではメディックメディア社のQB(クエスチョンバンク)が圧倒的マジョリティです。

「病みえ」や「イヤーノート」などのオンライン版を持っていれば、オンライン版QBの解説から関連事項に飛ぶことができて便利なようです。

私は教科書・参考書は紙派で、QBもはじめ紙で購入しました。しかし、圧倒的にオンラインが使いやすかったので、最終的にQBはオンライン版のみ利用しています。

QBも紙派、と言う人はいましたが、他の問題集を利用している人は今のところ私の周りにはいないです。

 

その他

  • まとめてみた マッチング対策:先輩のオススメで、病院見学前に購入。ささーっと読みやすくてわりと良かった。
  • ネジ子のひみつ手技(借りて読んだだけ):研修医の先生から借りて半分くらい読んだ。点滴の組み方、採血のコツなど、学生では教わらないけれど知りたい手技のあれこれがイラストで描かれていて良かった。

 

安く書籍をゲットする

私は、新品で購入した本が6冊、それ以外は全部中古です。某フリマアプリでの購入がほとんどです。病みえなんかはだいたい2-3月くらいにセットで出品されがちなので、これからの時期ねらい目です!部活のつながりがある人は、先輩からもらえたりするかもしれません。

ただし、中古品は版が古く、情報が古い場合があります。また、オンライン版を利用するためのシリアルコードは使えないものが多い点にも注意が必要です。

(…といいつつ、稀に最新版・シリアルコード付きが割安で出品されていることもあり、運がよければゲットできます。)

新品で買う場合、大学の生協で購入すれば5%OFFになります。学年で共同購入(出版社の指定する人数以上同時購入なら成立)できれば、さらに割引されることもありお得です。

買うかどうか迷う場合は、シラバス指定図書なら大学の図書館に揃っているので、中身を見てから考えることができます。ちなみに「病みえ」シリーズや「標準○○」シリーズもそろっています。

 

おわりに

1回目の大学生活はあまり何も考えずにてきとーに教科書を買っていましたが、今は節約生活しながらなので、必死です。

結局まわりの様子があまりわからず個人的な話ばかりならべてしまいましたが、参考になれば嬉しいです。

これから国試に向けて勉強する中で、新たに何か見出したらまた書きます!

 

医学生のノート事情

更新が予定より大幅に遅れてしまいました。たくさん更新するぞ!と言った矢先に不甲斐ないです。

言い訳をすると、コロナ陽性となり寝込んでおりました…。今回なかなか回復せずきつかったです。みなさん体調は大丈夫ですか。第8波が始まったようでまた感染者数が増えてきていますね。

今回、親子ともども熱が出て発熱外来に行くのもしんどかったので「ファストドクター」で往診を頼んでしまいました!その場で抗原検査もしてくれるし薬もくれるし、便利。ありがたかったです。

 

さて本題です。

医学生の授業のノートのとり方(特にiPadの利用)はどうされてるのかが気になります」

という質問をいただいたので、私のまわりの人々の様子をお知らせします。

 

講義資料は95%デジタル

講義では、資料のほとんどがPPTを元にしたPDFで配布されます。そのPDFは、webclassという大学のwebプラットフォーム上にアップロードされています。学生はログインして、各自資料をダウンロードして、講義に臨むというスタイルが基本です。

 

必然的に、学生は全員ノートパソコンまたはiPadを持っていて、授業中はその資料を閲覧します。印刷して持ってきている人は見たことがありません。

 

ごくまれに、資料がデジタルでなく印刷物で配布されることがありますが、ごくまれです。

 

ノートは?

iPadか、タブレットPCを持っていて、資料に直接メモを書き込んでいる人が多いです。

医学部の講義は「板書をとる」タイプのものではないので、講義中に強調されたところや、資料にない補足などを書きこんでいくのが、一番効率よいのです。

オンライン講義が中心になってからはZOOMの画面と資料を同時に開く必要が出てきたので、PCとiPadの2台使いも多いのではないかと思います。

 

ただ、各講義の資料+書き込んだメモという形だと、復習するのには適していません。

そこで、どうするか?これは2タイプに分かれます。

 

ひとつは、自分で「まとめノート」を作るタイプ。こちらは完全デジタル派と、まとめは手書き派に分かれます。どちらかというとデジタル派が多いように思います。

 

もうひとつは、シケプリ頼み派です。前にどこかの記事で書きましたが、各講義には「シケタイ」が割り振られていて、要点をまとめた「シケプリ」が作られることになっています。シケプリをまとめノート替わりにすると労力はゼロなのでとても効率が良いです。ただ、あくまで担当学生が作ったものなので、長すぎたり短すぎたり間違っていることもなくはないです。

 

病棟実習は?

病棟実習では、手書き派がぐっと増えました。だいたいみんなポケットにメモとペンを入れて、いつでもメモできるようにしています。

タブレットやPCを持ち歩くのは煩わしいですし、患者さんの前ではメモの方が開きやすい場合もあります。

 

ただ、スマホで調べ物をすることはよくあります。病棟スタッフに配布されている端末がiPhoneなので(学生はPHSですが…)、病棟でスマホを見ていても悪目立ちすることはありません。疾患の詳細、薬剤、解剖、なんでもググればすぐ情報が出てくるので便利な時代です。

 

完全デジタル派もたまに見かけます。多くの医学生が頼りにしているメディックメディア社の「Q-Assist」「Question Bank」「病気がみえる」「イヤーノート」などにはデジタルコンテンツがあります。これらを全てタブレットにおさめて、調べたり書き込んだりしながらフル活用できると、強そうです。

iPad miniを白衣のポケットに入れているドクターもたまに見かけます。

 

私の場合

私はiPadを持っていないので、PCだけでどうにかしています。

タブレットPCなので、授業中は資料に直接書き込んで、試験前はシケプリをベースにスライドを見直して、自分でシケプリにつけ足したりするのが精いっぱいです。まとめノートを別途作るような時間の余裕はとてもありません…!

 

4年生の終わりにあるCBTという試験に向けて、オンラインの問題集で勉強していたときは、覚えていなかったことや解説で大事だと思ったことをOneNoteに切り張りしてまとめていました。が!本番は控室にデジタル端末持ち込み禁止だったので、最低限だけ印刷してもっていくことになりました…。

 

病棟実習ではもっぱら手書きメモです。調べ物はiPhoneで。

最近は、実習中のメモや調べたことをデジタルにおこしてまとめるように努力しています。

 

つぶやき

私が1回目の大学生だった10年前は、PCこそ持っていましたが、板書をノートに書き写すスタイルが基本でした。数物系だったからかもしれないです。先生が大量の数式をデジタルで打つのも面倒だし、学生は手を動かして式を追ってなんぼなところがありますからね…もしかして、数式を大量に書くような学科では今でも板書が主流だったりするのでしょうか?

 

対して、医学の勉強は図も多いし情報も多いし、とても板書はしていられないです。

iPadがあると何かと便利そうなのですが、パソコンがWindowsなこともあって、導入するかどうか悩み中です…。

アンケートのご報告

先日は、突然のアンケートにご協力いただきありがとうございました!

宣言通り、約2週間でしめきりましたので、結果をご報告したいと思います。

回答はすごくたくさん集まったわけでもなく、分析的な質問を入れたわけでもないので、みなさんの参考にはならないかもしれませんが…。

記事内容についていただいた貴重なコメントは、今後発信する際に大いに参考にさせていただきます!ありがとうございます。

 

それではご報告です。数字は小数点以下四捨五入して丸めた割合のみをお示しします。

 

医学部受験の状況について教えてください

  • 編入試験を予定/検討中 86%
  • 一般入試を予定/検討中 14%
  • 過去に医学部を受験  14%
  • 医学系大学院の受験を予定 0%
  • 医学部受験を指導する立場 0%
  • 医学部受験とは無関係 0%

グラフにするほどでもなかったので数字の羅列で失礼します。

自由記載で医科歯科の志望度についてお知らせいただいた方もおりました。過去のコメントも思い返してみると、医科歯科のみ、または医科歯科+他数校、という方が多い印象です。

一般入試を検討されている方もいるんですね!

 

現在の状況について教えてください。

こちらはグラフにしました。

アンケート結果:現在の状況

「高校生・浪人生」と「大学院 博士」はゼロでした。まあ、編入受験者の分布とか読者の分布と言うより、シンプルに回答者の分布として見ていただければと思います。学部生の方から社会人の方までご回答いただきました。大学生(医学部)は学内の方ですかね?笑

お仕事について、今回は医療と接点があるかないかだけ聞きましたが、みなさん具体的にどういうお仕事されているのか個人的に興味があります。ちなみに私は「医療と接点あり」の仕事で、ざっくりいえば科学技術行政に含まれるジャンルの仕事をしていました。

学部生・修士課程の方もきっと分野はいろいろですよね。入学したらぜひみなさんのバックグラウンドについて教えていただきたいです。

 

どちらかと言えばどちらですか?

  • たくさん更新してほしい 86%
  • 厳選した内容で公開してほしい 14%

文章書くのが苦手で、あとから気になって直したりするかもしれませんが、更新頻度上げていけるように頑張ります!

かつ、散らかった内容になりすぎないように気をつけます…!

 

各トピックについてどのくらい興味があるか教えてください

こちらは

  • 是非知りたい 2点
  • あれば読む 1点
  • 興味なし -1点

として集計しランキング形式でご報告します。スラッシュで並列したものは同点です。

  1. 医学生生活
  2. CBT,OSCE,国試/卒後のキャリア
  3. 編入の筆記/編入の面接/合格者について
  4. 子育てとの両立
  5. 雑談
  6. オススメ勉強法/英語学習一般
  7. TOEFL対策

なるほど~~~。これはわざわざアンケートに回答くださった方々の声なので、大事にしていきたいです。

編入の情報について、私の思い出はだいぶ古くなってきましたが、新しく入学した方々から聞いた最新の話など今後お知らせできたらと思っています。

入学後のこと、医学生生活や試験や今後のキャリアについては、比較的リアルタイムな実感とともにお知らせできそうなので、記事にしていきたいです。

 

具体的なリクエス

コメントいただいたみなさんに直接お礼を言いたいくらい感謝しています!!

リクエストにお答えできるよう、順次記事にしていきます。ひとつ前の質問と同様に、学生生活について知りたいという方が多かったです。英語の勉強法について知りたいと言う方もいらっしゃいました。

具体的なリクエストをいくつかいただいた中に、「医学生の授業のノートのとり方(特にiPadの利用)はどうされてるのかが気になります」というものがあったので、次回はその辺書きたいと思います!

 

御礼

お忙しい中、回答にご協力いただいた方々、改めてありがとうございます。

正直、回答数としてはそんなに多く集まらなかったのですが、読んでくださる方々のことが少し知れて、嬉しかったです。コメントも本当に嬉しいです。

どこの記事にいつコメントいただいてもよいので、今後も何かあればお気軽にコンタクトください。もしかしたらこっそりコメント送りたいという方がいるかもしれないので、アンケートフォームも開けっ放しにしておきます。つぶやきでもお叱りでも、お待ちしています。