2022年になりました!
医科歯科大は1月4日から通常授業です!先生も学生もお疲れ様です…。
さて、プロセメの思い出3つ目は、「医学部のラボっぽい!」と思った話、です。
患者さんの検体保存
大学病院には、希少な症例、難しい症例、診断のつかない症例などが集まります。
これらの患者さんから検査の過程で収集した血液や組織などのサンプルを、適切に保存・管理し、研究に活用させていただくことがあります(もちろん事前に同意をいただいています)。
プロセメ期間中に何度か、患者さんのサンプルを触らせていただく機会がありました。
どういう担当分けなのかわかりませんが、私を指導してくださっていた院生さんの机にはよく「保存お願いします」と血液や脳脊髄液のサンプルが届いていました。
普段は培養細胞を使って実験しており、細胞たちはモリモリ増えてくれて扱いもさほど難しくなかったのですが、患者さんのサンプルを扱うのは緊張しました。ひとつひとつが替えの効かない貴重なものなので、保存のための処理も失敗が許されない。
初めて患者さんの細胞を凍結する処理をした時、院生さんからその患者さんの疾患のことやこれまでの経過を聞きました。私は直接お会いしたわけではないですが、今現在もこの患者さんは闘病しているんだと思うと、より一層緊張しました。
長年こうやって検体を保存しているので、患者検体はものすごい数がありました。貴重なサンプルを保存・管理して、それを活用して研究する、という大学の役目を垣間見ました。
臨床分野との連携
現在進行形で治療している患者さんの遺伝子変異について、ラボで調べる、ということもお手伝いさせていただきました。
希少な疾患だと、確立された検査法がないことがあり、変異を検出する実験系から組み立てる必要があります。このときは、院生さんがすでにプローブをいくつか設計していて、私はそれがワークするか実験する、というお手伝いをしました。
検出は上手くいったのですが、その後、その実験系を使って、ある疾患の再発がわかってしまいました。院生さんが「検出が上手くいって研究者としては嬉しいけれど、この結果は臨床医としてはとても残念」と仰っていたのが忘れられません。
その後、病棟で主治医をしている先生と、大学院生の先生でこの患者さんについて相談していました。私の理解できた範囲では「現在、臨床研究中で、効く可能性のある治療がある。数年後に、適応範囲が広がってこの患者さんが参加可能になるはずだから、まずはそこまでコントロールして、この新しい治療に挑戦しよう」ということでした。
病院と大学研究室の連携、それから臨床研究の意義について、間近に見ることができた貴重な体験でした。