東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)医学部編入とTOEFL受験

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【医学部編入】推薦書:作成依頼と推薦文の例

東京医科歯科大学医学部学士編入試験では、出願時の提出書類のひとつに「推薦書」があります。2020年度募集要項にも

入学志願者に関する問い合わせが可能な卒業研究指導教員,学位論文指導教員,又はこれに準ずる者(教員であることが望ましい。)1名が記入したもの。

とあります。

推薦書は卒論・修論・博論でお世話になった教授に書いていただくのが通常でしょう。

中には、研究室ローテーションだったので指導教員が誰なのかよくわからない、そもそも卒論がなかった、という人もいると思います。そのような場合でも誰かには書いてもらわなければいけないので、面識のある先生で、話しやすい、推薦書を書き慣れていそうな方などにお願いすれば良いと思います。

 

推薦書はどれくらい大事なのか?

正直、推薦書が決定打となることはほとんどないと思います。受験者は全員、自分の良いところをふんだんに書いてもらった推薦書をそれぞれ提出しているはずなので、差もつきにくいかもしれません。

しかし、医科歯科の場合、筆記試験が軽め(現状、ほぼ英語のみ)なので、必然的に書類審査と面接の比重が上がるはずです。募集要項にも以下のように書いてあります(抜粋)。

入学者の選抜は,学力検査,面接試験の成績,出願書類を総合して判定する。

(1)第1次選抜
 学力検査及び書類審査を実施し,募集人員の4倍程度(約 20 名)を第1次選抜合格者とする。

(2)第2次選抜
 第1次選抜合格者に対して,面接試験を実施し,学力検査及び書類審査の成績と総合して最終合格者を決定する。

これだけしっかり書類審査すると書かれている上に、推薦書は自分自身はあまり労力をかけなくて良い部分で、しかも内容は良いことばかりが書かれていてマイナスにはなりようがないので、活用しない手はないと思うのです。

 

依頼する前の準備

私の場合、大学はすぐに行ける距離にありましたので直接訪問してお願いしました。遠方で直接の訪問が難しい場合はメールでのやりとりがメインになるかと思います。

推薦書作成をお願いする際に私が用意しておいたものは以下のとおりです。

  • 医学部に編入したいという意思を伝える準備
  • 募集要項のコピー
  • 推薦書指定用紙
  • 文案
  • 要件をまとめた一筆
  • 手土産
  • 返送用の封筒

順番に説明します。

 

■医学部に編入したいという意思を伝える準備

まず先生に状況を説明する必要があります。自分の意志を簡潔に伝える準備をしておくのは、面接の練習にもなって一石二鳥。

直接訪問するなら口頭で、そうでないならメールで説明することになると思います。訪問の際は事前にメールでアポイントをとるのは常識です。

 

■募集要項のコピー

■推薦書指定用紙

よほどのことがなければ承諾してもらえると思いますので、事務的な説明をします。その時に、募集要項があると良いです。必要な部分を抜粋して、先生に確認していただきたいポイント(期日、求める学生像など)にマークしたものを準備しておくと便利です。大学指定の用紙があればそれについても説明し、お渡しします。

 

■文案

推薦書の文案を自分で作成してもっていくことはよくあるようです(自分で自分をほめるのでやりにくいですが)。特に、卒業してから何年も経っている場合や、先生が毎年多くの学生を指導している場合などは、具体的なエピソードを思い出すのに時間がかかる可能性がありますので、こちらからアイディアを出した方が先生も助かると思われます。

私は、文全体を作成して渡すのは少し抵抗があったので、箇条書きのメモをお渡ししました。先生主体で書いていただきつつ、もしアイディアに困ったらこのエピソードメモをご参照ください、という感じです。メモは、募集要項にあった「求める学生像」などの項目を参考に、以下のような雰囲気のものを作成しました(実際とは異なります)。

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国際性

  • 修士2年次に国際学会に参加し英語でポスター発表を行った
  • 修士論文を英語で執筆した
  • 研究内容をまとめ国際誌に投稿し受理された

学習能力

  • 解析に必要な数理科学、統計学、プログラミングを数ヶ月で習得した
  • 神経科学の基礎事項を自習にて身につけた
  • 分野にとらわれず学問への幅広い興味がある

人物像

  • 学生実習で学部生を熱心に指導した
  • 実験参加者への説明・対応を丁寧に行った

その他

  • 就職後も研究ミーティングを継続し論文投稿に至った
  • 附属病院小児科との共同研究の経験

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教授はおそらくいろんな場面で推薦書を書いていて慣れているはずなので、文全体の案を自分で作成するより、アピールポイントを箇条書きにして託す作戦の方が個人的にオススメです。
 
■要件をまとめた一筆
■手土産
別になくても良いのですが、手書きの一筆があった方がなんとなく丁寧かなというのと、推薦書をいつまでに書いてほしい、という日付を強調したかったので一筆つけました。帰宅してからメールで、快諾いただいたお礼を述べつつリマインドするのでも良いと思います。
手土産もオプションです。うちの研究室は時々「おやつタイム」があったので、みんなで分けられそうなものを持っていきました。
 
■返送用の封筒
丁寧にするなら、推薦書原本を自分に送ってもらうための返送用封筒(切手付き・住所記入済み)を、一緒にお渡しするのがよいと思います。
今回は、直接とりに行こうと思っていたので用意しませんでしたが、結果的に先生から郵送で送られてきて、渡しとけばよかった…と思いました。
 

 依頼したあと

まずは作成していただいたお礼。
その後は、1次試験の結果、2次試験の結果を都度報告。
合格したら改めてお礼。
まあ、当たり前ですね!
 

一例

私がいただいた推薦文(一部改変)です。ご参考まで。
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推薦者は、申請者の大学院での指導教員である。申請者は、科学的な思考や技術において卓越した資質を持ち、医学への強いモチベーションを抱き、成熟した人格を持ち、マルチタスクをこなす気力と体力にあふれた稀有な人物である。
 ○○さんは他学部を卒業後、当方の大学院に進学した。△△の研究に取り組み、短期間に計測手法から解析プログラミングまで学習した。重要な研究成果を得て、英国での国際会議で研究成果を発表した。修士課程修了後も仕事をしながら研究室を訪れ、附属病院小児科との共同研究で得られた成果を論文にまとめ、国際誌から発表した。
 今回本人より、附属病院との共同研究や大学院での経験が、「医学こそ自分が生涯をかけて取り組みたい」という決意につながった旨を聞き、その覚悟を頼もしく感じた。学部生の指導や、研究協力者への説明・配慮なども大変丁寧で信頼できるものであった。申請者はユーモアのある親しみやすい人柄で、人間的にも魅力的な人物である。
 以上より、申請者は進学後も勉学に励み、多様な視野を持った優れた医療人となり、次世代のリーダーとして活躍することが大いに期待される。貴学への入学を心より推薦する。
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まるで立派な人物であるかのように仕立て上げていただいて、教授には頭が上がりません。募集要項に書かれている「求める人物像」などのポイントもかなり気にかけて書いていただいたように思います。
盛っているとわかっていても、褒めてもらえると嬉しいですね。