書類提出が締め切り目前なので、今年に関してはもうあまり需要がないかなと思いつつ…。
これまで大学(大学院)で取り組んできた主な研究課題等
について、書きます。
内容を考える
基本的には、そのまま取り組んだ研究を書けば良いので、あまり悩まないと思います。
ただし、いくつかの研究テーマを持っている場合は悩みますよね。
かくいう私もいくつかの候補があって、どうしようかな、と少し考えました。
メインは絶対Aに決まりでした。内容がわかりやすいし、国際学会でポスター発表したし、最終的にはfirst authorとして論文を書いたからです。研究と国際性をアピールするのにもってこいでした。
(というか、英語力がイマイチで海外での活動にもそんなに興味がない私は、ここで国際性をアピールするしか選択肢がなかった…)
悩んだのは、他3つをどうするかです。たかだか1000字なので、Aをきちんとかいたらほぼ字数いっぱいになることは目に見えていました。
かといって、他3つはすごく数理物理的なことをしていて、「私らしい」内容なので捨てがたい。その反面、わかってもらえるように説明するのは難しい。
そこで!末尾に【他の研究】として、3つ箇条書きにすることにしました。何が評価されるかわからないので、入れられるものは入れ込んでしまえ作戦です。1行だけ書いても内容がわからないことは承知の上で、気になったら面接で聞いてくださいというスタンスでいきました。
お作法
特別に決まったお作法はないと思いますが、以下の内容を全て含めると「それっぽい」と思います。
- 背景
- 目的
- 方法
- 結果
- 結論
まあ論文の構成と同じです。改めて言うことでもなかった気がします。
文中で先行研究を引用する時や、自分の論文、出版物を記載するときは、さらにお作法が大事なはずです。と言っても、これも論文のreferenceの書き方を真似すればOKです。
専門外の者にもその概要が理解できるよう記述すること。
これがひとつのポイントだと思います。理解してもらえなければ話になりませんから。でも、どこまで説明するべきか、加減が難しいんですよね。
主な研究課題等
参考になるかわかりませんが、最後に私の書いたものをまた晒しておきます。一部改変していますがほぼそのままです。
【早産時・ダウン症児の脳活動】
脳は様々な部位で機能的結合(functional connectivity)を形成し、複雑な情報処理を行っていることが知られている。この機能的結合は安静時や睡眠時にも見られ、脳の意識状態やある種の病態を反映させていることが報告されてきた。機能的結合は新生児でも見られ、発達の過程で変化していくことが報告されているが、早産や種々の疾患が与える影響については十分明らかにされていなかった。そこで、附属病院小児科の協力のもと、正期産児、早産児、およびダウン症児の安静時脳活動を計測し、その特徴を比較した。
計測には近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; NIRS)を用いた。これは、皮質中の血流が脳活動に伴って部位限局的な変化をすること(neurovascular coupling)を利用し、血流動態から脳活動を推定する方法である。NIRS装置は移動可能なためベッドサイドでも使用でき、身体拘束が少ないので計測の負担が極めて小さい。
解析では児を(a)在胎34週以上、(b)在胎34週未満、(c)ダウン症の3群に分け、また機能的結合を4つのネットワークパターンに分類し、結合の強さを計算・比較した。さらに、酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン(deoxy-Hb)それぞれの増減のタイミングに着目して、これらの記録波形の平均位相差を計算した。
機能的結合ネットワークの解析によって、早産児でも40週ころには正期産児に近いパターンを獲得していることが示された。また、ダウン症児では結合のパターンの特徴は似ているが、全体的に結合の強さが弱いことがわかった。さらに位相差に着目すると、健常な成人ではほぼ逆位相(oxy-Hbが増えるとdeoxy-Hbが減る)を示すが、非ダウン症児では逆位相に近く、ダウン症児では同位相に近い傾向があった。本研究により、ベッドサイドで静かに計測可能な脳血流動態が、発達や病態のある側面を反映しているという新たな可能性を見出した。(修士/NeuroImage, 20XX)
【他の研究】
・外部からの音刺激に対する脳活動と安静時ネットワークの位相の関係の解析(修士)
・宇宙線ミュオン(宇宙から降り注ぐ素粒子の一つ)の質量計測実験(学部)
・スピン流(電流に代わる新しい情報基盤)の計測実験とシミュレーション(学部)