前の記事では、3年生の4月~GWまでの講義について振り返ってみました。
本記事では前回の続きで、GW後~夏休み前までの講義をご紹介します。
GW後~夏休み前までの講義
GWのあと、夏休み前までに実施された講義は以下の5つです。
- 腫瘍学
- 臨床医学導入
- 循環器
- 呼吸器
- 消化器
これらは「ブロック講義」という形式で行われました。
GW前までの講義は例えば、
- 月曜:法医学、法医学、行動科学、行動科学
- 火曜:法医学、法医学、衛生学、衛生学
- 水曜:東洋医学、法医学、行動科学、行動科学
のように、毎日様々な講義が入れ替わり開講される形でした。
一方、GW後の講義では、数週間のブロック期間中は毎日全ての講義がその科目の講義のみとなります。そしてブロックの最後に試験があって完了です。集中して学べるので私はこの形式が結構好きです。
内容的にも、GW前の社会医学系講義とは対照的に、かなり臨床寄りになりました。先生方も臨床の先生が多かった気がします。
腫瘍学
これから始まるブロック講義の基礎的な位置づけなのが腫瘍学と臨床医学導入でした。
私は解剖や病理が結構好きなので、腫瘍の組織像について学ぶのは楽しかったです。病理の先生たちが細胞を見て「これは結構悪い顔してる」と言ったりするのですが、そこまでのレベルにはいかないものの、悪そうながんと、あまり悪そうでないがんはある程度見分けられるようになりました。
腫瘍に関連する遺伝子や腫瘍マーカーをひたすら覚えるという作業は苦手で、しんどかったです…。それぞれの遺伝子やタンパクの働きまで理解すれば「ただの暗記」地獄から抜けられるんでしょうけど、そこまでの余裕がなかったです。
臨床医学導入
臨床医学導入では検査について学びました。基準値をひたすら覚えたりしてこれもしんどかったのですが、でもそれ以上に、頭に入った後の喜びが結構大きかったです。
国家試験の問題で、症例の最後にこういう検査所見が書かれていることがあります☟
検査所見: 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1+、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球360万、Hb 10.0g/dL、Ht 34 %、白血球21,000、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン3.3g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 17 U/L、ALT 7 U/L、LD 180 U/L (基準176~353)、ALP 243 U/L(基準115~359)、γ-GTP 48 U/L(基準8~50)、アミラーゼ146 U/L(基準37~160)、CK 30 U/L(基準30~140)、尿素窒素24mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、血糖99mg/dL、Na 138 mEq/L、K4.0 mEq/L、Cl 108 mEq/L。CRP 4.8mg/dL。
これを見て、何が異常か分かるようになりました。手も足も出なかった問題が理解できるようになったことは結構嬉しかったです。
循環器
循環器はかなり内容が多かったです。ブロックのなかで内科も外科もやるし、成人も小児もやるので、本当にもりだくさんでした。心電図が少し読めるようになったのは嬉しかったですが、まだまだ入口の入口というレベルだと思います。3週間のブロックだったのですが、消化しきれませんでした…夏休み中に少し復習する予定です…。
私は小児科に興味があるので、先天性心疾患の話は特に注目して聞きました。え、本当にそんなことして大丈夫なの?というくらい大胆な手術が行われるので驚きました。最近は治療成績が上がっているので、先天性心疾患を成人でどうフォローするかが新たな課題となっているようです。
呼吸器
呼吸器ブロックは2週間でした。肺炎、肺がん、アレルギー、感染症、いろいろやりました。COVID-19のCT画像も何回も見ました。コロナで忙しい最中に、臨床の先生がよく講義してくれるな…と思いながら講義を聞いていました。
画像系はいつも得意なのですが、呼吸器は難しかったです。「すりガラス影」「浸潤影」などの定義がピンとこない上に、「この影が見えたらコレ!」みたいな特異性もあまり高くなくて、苦労しました。症状も「咳」「痰」「発熱」「胸痛」などが多くて、鑑別が難しそうな印象…。
驚くのは、日本の肺移植の予後の良さです。心臓移植もそうだったのですが、日本は基本的にドナーが少ないものの、移植が実施されると移植後の生存率が国際平均よりだいぶ良いんです。世界に誇れることだと思います。
消化器
消化器は3週間でした。大腸がん、胃がん、肝がん、膵がんなどは、がんの中でも死亡者数が多いので、やはりがんの話がメインでした。ステージ判定や、ステージに応じた治療の方針などを学びました。あとは自己免疫性疾患や、肝炎の話、人工肛門の話もありました。
消化器って日本は強いみたいですね。医科歯科も潰瘍性大腸炎とかに強いらしく、神経内分泌腫瘍という珍しい腫瘍については症例数日本一らしいです。
肝胆膵外科の先生たちのエネルギーはなんだかすごかったです。あのブラックジャックの師匠である本間丈太郎先生のモデルは本庄一夫先生であり、本庄先生はひとりで肝胆膵外科の基礎をすべて作ってしまった!というアツい紹介がありました。
つぶやき
臨床系のブロック講義は、2年生で学んだ解剖や組織、生理などをベースに、最終的には症例を考えるところまでいくので、とても面白いです。いよいよ医学部生と言う感じです。
ブロック講義が終わると、その分野の国試の問題が半分くらいは解けるようになるのも嬉しいです。
各ブロックがとてもボリューミーなので、すべてを消化するのはかなり大変ですが、なんとか取りこぼしなく身に着けていきたいです。