東京医科歯科大学(東京科学大学(仮))医学部編入とTOEFL受験

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【医学部編入】第1次選抜(筆記)試験問題 問題1(東京医科歯科大2019年度) ★210606追記

筆記試験の問題用紙は回収されていたと思っていたのですが、なんと手元にあったので、今更ですが2019年度入学試験問題の出典と、設問を公開します。

 

編入試験の過去問は大学の入試課へ行けば保管してある分は自由にコピーできますが、今年はCOVID-19の影響でみなさん気軽に大学を訪問できる状況ではないと思いますので、お役に立てば幸いです。

著作権の扱いがよくわからないので、念のため写真は最小限にしています。問題が生じた場合はこの記事は削除する可能性があります。)

 

はじめに

 

第1次選抜は筆記試験で、出願者は全員受験できます。

2019年度の入試では、「自然科学総合問題」というタイトルで、英文を読んで設問に答えるという形式の大問が2問でした。

ここでは問題1の出典と設問を公開しています。回答や解説はつけていません。

なお、問題用紙のはじめには文字数をカウントできるマス目の入った下書き用紙が、字数制限のある設問の問題数分用意されていました。

 

問題1 出典

Are We Prepared for Nuclear Terrorism? (Robert P Gale, et al)

The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE, March 29, 2018

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsr1714289?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub++0pubmed

 

1問目はNEJMからの出題でした。2018年3月の記事ですから、試験の3か月前にpublishされた記事からの出題ということです。Free accessの記事なので、リンク先に行けば全文読むことができます。長さはA4の問題用紙に7ページ分です。

★210606追記

 ただし、上記記事のうち、問題文に記載されているのは「Radiation dose」の段落までで、それ以降はカットされていました。この差は(5)を解く上で非常に重要です。間違いがあり大変失礼しました。コメントでのご指摘、ありがとうございました。

 

問題1 設問

(1) 下線アのヨウ素剤が放射性ヨウ素の体内への取り込みを予防する機序とその目的を下のチェルノブイリ事故の調査結果を参考に200字以内で説明せよ

※下線ア

Neuclear Power Facilities のセクションのParagraph 1

「distribution of iodine tablets to block uptake of radioactive iodine」

の部分

チェルノブイリ事故の調査結果

(表)

f:id:hana_megane:20200511011050j:plain

2019筆記問題1(1)表

(文)

Estimated risk of developing thyroid cancer after a radiation dose of 1 Gy, by level of soil iodine in the settlement of residence at the time of the accident and by potassium iodide (i.e., antistrumin) consumption status (analyses restricted to subjects with radiation doses to the thyroid of less than 2 Gy)*.

* Levels of iodine in soil in settlement of residence at time of accident were dieided into tertiles, and soil iodine concentration was used as a surrogate marker for iodine status of study subjects.

OR = odds ratio at 1 Gy compared with no exposure; CI = confidence interval.

注) tertiles : 三等分

(Cardis E, et al., Risk of thyroid cancer after ecposure to I-131 in Childhood. J Natl Cancer Inst 2005より抜粋)

 

(2) 下線イは、病院跡に放置されていた放射線源のセシウム(Cs)-137が盗難され、それに接触した住人等が被爆し、数名が放射線障害で死亡するに至ったゴイアニアで起きた放射線被爆事故です。

※下線イ

Neuclear Power Facilities のセクションの最後の部分「the event in Goianina, Brazil」

 

セシウム(Cs)-137の放射性崩壊図を下記に示す。(A)に該当する元素を下から選べ。

a. Ba(バリウム

b. La(ランタン)

c. Ra(ラジウム

d. Rb(ルビジウム

e. Sr(ストロンチウム

f:id:hana_megane:20200511011137j:plain

2019筆記問題1(2)図
②本事故で盗まれたセシウム(Cs)-137は15年前に病院に設置された際には74TBqの放射能を有していた。盗まれたときの放射能を計算で求めよ。

セシウム(Cs)-137の半減期は30年とし、計算式も記載すること。必要であれば√2=1.4、log2=0.69を用いてよいが、答えは小数点以下を四捨五入し整数とすること。

 

(3)  テロリストが下線ウ「dirty bomb」を使用する目的を100字以内で説明せよ。

※下線ウ

Radiologic Dispersion Devices のセクションの最後、第1 paragraphでTNTがでてきたすぐあとの「dirty bomb」

 

(4)  放射線被爆による人体への影響を、被爆直後(急性期)と長時間経過後(晩期)とにわけて100字以内で答えよ。

 

(5) 本文の内容から核テロリズムに対する適切なmedical preparedness について考察し理由も含めて400字以内で述べよ。

 

以上です。

次回は問題2を公開します。

hana-megane.hatenablog.com

 

2020/08/31 追記

回答案を作ったので貼っておきます(あまりあてにしないでくださいね)。

 

hana-megane.hatenablog.com

 

 

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